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太陽光Labo
2020.04.20市場・情勢
2012年にFIT制度ができてから、太陽光発電事業は安定して収益を見込めることなどから、瞬く間に拡大していきました。ですが、今や買取価格は2012年度の40円から2019年度の14円と半分以上も減額されました。
そんな中、注目されているのがセカンダリー市場です。今回はセカンダリー市場がどのようなものか、また、中古発電所のメリットやデメリットなどを紹介していきます。
太陽光発電事業にとってセカンダリーとは、すでに運転を開始している太陽光発電設備、すなわち、中古発電所の事を指します。
太陽光発電において、中古発電所は発電量・売電量をシミュレーションではなく実績のデータを確認できる物件であることから注目されています。
中古発電所には、いくつかのメリットがあります。
既に稼働済なので、発電量・売電量の実際のデータが分かります。そのため、キャッシュフローのシミュレーションが明確なものとなり、将来の計画も立てやすくなります。また、完工済みで売電実績もあり、既に存在する物件なので担保化しやすいなどの点で、金融機関などからの融資も受けやすくなると言われています。
FITの買取価格は、設備の認定年度の価格から変わりません。つまり、中古の発電所を購入すと、新規で導入するよりも高い買取価格で電気を売る事が出来ます。
2019年度の買取価格は、低圧の太陽光発電所なら14円、2020年度は13円になりました。年々買取価格が下がっているなか、中古発電所の中には単価18円や21円など、数年前の高額な買取価格のものも存在しますので、その分だけ収益が高く得られます。また、減価償却費の計上を目的とした投資家も多く、計上を終えると売却に出すケースが多いので、多くの物件が売り出されています。
新規で発電所を開発する場合、様々な課題をクリアしていかなければなりません。例えば、設備を設置する土地の農地転用の許可の取得、近隣住民からの了承など必要な地域は多くあります。また、自然災害などの工事の遅れなども発生する可能性もあります。
一方で、中古発電所は土地の許可などはすべて取り終えていますので、購入から売電までの間のトラブルが起こりにくく、速やかに売電を開始することが出来ます。
ここまで定着してきたFIT制度ですが、これからも続くという保証はありません。FIT制度では市場価格よりも高い単価での買取を義務とされているため、買取金額の一部を国民に負担してもらう形となっています。そこで、国民の負担を軽減させるために2020年に廃止されるかもしれないという話も出ていました。
結果、廃止とはなりませんでしたが、10kW以上の発電所は「余剰売電をすること」「災害時に活用できること」という制限が設けられたことにより、今まで「全量売電」で収益を得ていたものが、かなり下がることとなりました。
その点、中古発電所は「認定時の買取価格で全量売電」での投資となるため、収益が高く見込めます。
売電の実績も確認でき、購入後速やかに売電を開始できるのが魅力的なセカンダリーですが、メリットばかりではありません。以下のようなデメリットがあります。
新規物件の太陽光発電の固定買取期間は売電開始から20年間、電力会社が買取ってくれますが、セカンダリーは既に運転を開始している物件となりますので、FITでの売電期間が短くなります。
ですので、購入を考えている方はその発電所が既に稼働している年数も必ずチェックしておかなくてはいけないポイントと言えるでしょう。
新規ではなく中古発電所であるがゆえに、経年劣化している可能性があります。
稼働している年数にもよりますが、太陽光発電設備は自然の影響を受けやすいものです。台風や地震でパネルが破損したり、地盤が崩れて架台が沈んでしまったりなど、メンテナンスや修繕が必要になるケースもあります。
太陽光発電所を売りに出すときに気になるのが、買取価格ではないでしょうか。査定の際に主にチェックされるのは以下のポイントです。
新規の分譲物件などは、シミュレーションの数値からその物件の価値を決めることが多いです。逆に、売電実績がある中古発電所は、発電量や売電額といった実績そのものが評価に繋がっていきます。売り手は発電所を手放す前に実績をを明確にしておく事で、透明性のある発電所として評価に繋がります。
FITの買取価格は2012年度の40円から2019年度の14円と落ち込みが激しいなか、セカンダリー市場の物件は過去に認定を受けた発電所の為、買取価格が高い物件が多くあります。そのため、買取価格が高ければ、査定額も高く評価される可能性が大きいです。
太陽光発電所は、雑草が伸びて発電量が下がったり、風や雨でパネルが汚れたり、ブレーカーが落ちるたりするなど、自然に影響されやすいため、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。そのメンテナンスを怠ると、買主の方が現地を視察しに行ったとき良い印象は持ちません。
売却を考えている方は、定期的にメンテナンスを行うと買い手が見つかりやすく、査定にも評価されるでしょう。もし、稼働中にあまりメンテナンスができていなかった場合、売却前に一度メンテナンスを行う事で評価に繋がるかもしれません。
出力制御とは、発電所で生産された電気の売電を一時的にストップし、電力の需要と供給のバランスを取ることです。
2020年4月現在、制御対象ではない電力会社は東京電力、中部電力・関西電力の3つの電力会社エリアのみです。これらの電力会社の管轄エリアには、人口が多く需要が高いことから制御の対象外となっています。もちろん制御対象地域で事業を行う方もたくさんいますが、売電ができなければ売電実績にも影響を及ぼしますので、出力制御対象外地域の人気が高く、査定が高くなる傾向可能性があります。
FITの買取価格が下がる中で、太陽光発電のセカンダリー市場はさらに盛り上がりを見せると予想されます。
既に、太陽光発電事業をされている方、またはこれから始めようと考えている方は、セカンダリー市場の動向に目を向け、中古発電所の売買も視野に入れるのも良いのではないでしょうか。JCMAエネルギーでは、中古発電所の売買に関する相談も承りますので、ご不明な点はお気軽にお問い合わせ下さい。