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太陽光Labo
太陽光発電は長期的に見れば利益を生み出すものです。
しかし、太陽光発電によって得られた電力の買取価格は年々下降していっています。
今回はこのような状況を踏まえて、「未稼働の太陽光発電所)」について取り上げていきます。
なお、下記に記す数字は、特記しない限りは1kWhあたりの値段とします。
「未稼働の太陽光発電所(システム)」について知るためには、「太陽光発電の買取価格の推移」について知らなければなりません。
太陽光発電が急速に普及した理由として、「太陽光発電で作られた電力は、非常に高い金額で買い取られたこと」があります。
たとえば2009年~2010年の場合、家庭用の太陽光発電で発電した電力は48円、2011年~2012年の段階でも42円で買い取られていました。
産業用の太陽光発電の場合は2009年~2011年までは電力会社が自主的に買い取るかたち(24円前後)でしたが、2012年以降は40円+税で買い取られるようになりました。
このように買取金額が上がったのは国が再生エネルギー導入を考え、太陽光発電によって得られる電力を高く評価したからです。
なお、そのためのコストは消費者である、国民全体に負担してもらう形になっています。
この傾向は、長く続きます。
2013年からは40円を割るようになりましたが、それでも2015年程度までは29円+税(産業用)~35円(家庭用)で推移していました。
このように、売電価格は「導入が早ければ早いほど(ただし産業用の場合は2012年以降。また、2009年以前の場合は電気会社の自社買取だったのでこの限りではありません。)高値であった」という事実があります。
また、太陽光発電の導入を強力に推進したものとして、「買取金額を、長期間にわたって保証したこと」があります。
これは「固定価格買取制度」と呼ばれるものなのですが、家庭・産業用、ともに太陽光発電が広がった理由のひとつでもあります。
家庭用の太陽光発電装置の場合は10年、企業用の太陽光発電装置の場合は20年間、「最初に稼働したときの売電価格」が維持される制度です。
産業用に注目して言うと、「2012年の段階(正確には2012年7月)で売電開始から20年までは買取額40円+税を保証する」としたのです。
ここ6年の間で産業用太陽光発電によって生み出された電気の買取額は半額以下の18円+税にまで落ち込んでいますが、2012年にこれを取り入れた企業の場合はかわらずに40円で電気を売ることができているのです。
太陽光発電で生み出される電気は、環境を考えたときに「再生可能な、持続可能なエネルギーである」と評されます。しかしこれは決して「環境」に限ったことではありません。
「20年」という時間を短いと考えるか長いと考えるかは人によって判断が分かれることではありますが、長期的な安定した収入源として、個人や企業の資産運用に役立ったことはたしかです。
このような「長期で、かつ高値で売れる太陽光発電によって生じた電気」は年月を重ねることで少し様変わりしました。
それを表すもっとも分かりやすい指標が、「買取価格の下落」です。
保証期間自体は変わりませんが、上でも述べたように、太陽光発電所によって得られる電気の買取価格は、ここ6年で大きく減少しています。
2012年の段階では40円+税だったのが、2018年では18円+税となっているのです。
その前年と比べても3円も値下がりしています。
産業用の太陽光発電では、発電出力50kW以上かつ直流750V以上の高圧で大容量の太陽光パネル及びパワーコンディショナーを使用するため、家庭用に比べ価格の下落幅に大きな影響を受けます。
特に1MW以上のメガソーラーでは、その下落幅は利益を直撃します。
生み出される電力が大きいほど、「買取価格の下落」は最終利益の差になって表れてくるのです。
太陽光発電によって生み出される電力の買取価格が下がった背景には、「太陽光発電による生産電力のコストパフォーマンスが良くなった」ことや、「太陽光発電所の優遇措置は、国民の経済的負担となっている」というものがあります。
また、太陽光発電に詳しい有知識者のなかには、「そもそも、初めの買取価格が高すぎた。また、制度自体があまりにも高い価格で買取金額を長期間保証するなど、『優遇措置すぎるもの』だった。」と見ている人もいます。
太陽光発電の買取価格が減額していくことは、最初から決まっていたということもあり、「どのタミングで太陽光発電設備を導入するか」はよく話題となっていましたが、その理由の1つとしては、「現在の太陽光発電のコストパフォーマンス」は時代が経つに従い高くなっている傾向にあります。
多くの人が太陽光発電システムを導入しようとした結果開発・販売メーカーが国内外で急増して価格競争が起こり、より高品質で安く買える太陽光モジュールやパワコンなどが軒並み開発され、販売されています。
当時よりも、安価で太陽光発電システムが設置でき、生み出される電気はより多くなったとからだということです。
この結果、太陽光発電の接続契約を結び20年間の固定価格買取制度の権利を得て、売電開始(連携)はこれら設備価格が安くなってから」という考えを持つ人も出てきました。
また、「最初にこういうパネルを使います」と認定を得たのちに、後から設備変更を行う方法を取る方もいられます。
それが「長期未稼働の太陽光発電所に対して、ペナルティを課そう」というところに繋がったのです。
太陽光発電の本来の目的は、自然環境を考えて導入が勧められたものですから、これは当然のことといえるでしょう。
ただ、この「ペナルティ」は転売目的ではない人にも課せられます。
たとえば、
などのような場合です。
このような人も相当数いると考えられています。このような人でも、ペナルティの対象となるのです。
未稼働の太陽光発電所(システム)であると判断された場合、そのまま放置することはできません。
また、未稼働状態でも1年程度しか経っていないのであれば、とがめられはしません。
ただ、その「ペナルティ」とは刑法や民法などで「裁かれる」ものではありません。
金銭的な損を受けることとなります。
「認可を受けた当初の金額で買い取るのではなく、着工申し込みが受理された日の2年前の価格が適用される」というものです。
現在では数多くの会社が、未稼働の太陽光発電所の売買を取り扱っています。
これらの多くは、「容量」「売電価格」で表示されているだけでなく、利益の生涯予想なども算出できるようになっています。
システム価格と土地代を合わせた金額と比較して、どれだけの利益を得られるかが可視化できるようになっているのです。
言い方を変えれば、現在の状況においても太陽光発電は収益を生み出すことのできる「畑」であると考えられているということですし、比較的年の古い未稼働案件はそれだけ高いニーズを誇っているということでもあります。
買い手側にとって2018年よりも前に認可を受けた土地」は、魅力的なものです。
また、「認可を受けたけれども未稼働になっている」という土地を抱えている潜在的な売り手にとっても、ペナルティを回避するための方法としてこれは有用です。
ペナルティを回避するためのもっとも簡単な方法の一つとして「ただちに着工を行い、未稼働状態を解消すること」もありますが、選択肢の一つとして「売ること」も考えておくとよいでしょう。
ペナルティが課せられるといっても、これは「今日、明日中」の話ではありません。ある程度猶予期間は見てもらえます。