
- 2020.07.14法政・条例
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太陽光Labo
今回は民法において定められている「売買契約」と「請負契約」に関するお話しです。
太陽光発電システムを設置する場合、この2つの契約が関係してきますので、太陽光発電を始めようとお考えの方は、予めこれらの契約について理解しておく必要があります。
何も知らずに契約を結んでしまうと、相手が悪徳業者だった場合、業者の都合の良いように処理されてしまう可能性があり、大きな損をしてしまうかもしれません。
太陽光発電を始めようという方は、必ず事前に最低限の知識を身に着けておくようにしましょう。
売買契約とは、物を売ったり買ったりする際のルールのことです。
「目的物が所定の性能を有している」ということを当事者が前提にして、価格を決定し、取引を行います。
「目的物が所定の性能を有している」という前提がありますから、売主側は、目的物が不完全であったり、引き渡した後にすぐに故障してしまったりした場合は、民法に基づいてその責任を負う必要があります。
これを、瑕疵担保責任といいます。
瑕疵担保責任とは、目的物に「隠れた瑕疵」がある場合に発生するもので、売主は民法の規定に基づいて責任を負います。
なお「隠れた瑕疵」とは、通常の注意を払っても気づけないような欠陥のことを指します。
つまり、売主側に悪意がない瑕疵であっても、売主は責任を負わなければならないということです。
具体的には、売主は買主に対して、買主が負った損害を賠償する必要があります。
売主がこの責任を負うのは、買主が瑕疵の存在を知った時から1年間であり、その間責任が継続されます。
買主は、その瑕疵によって売買契約時の「目的」を達成できない場合、売買契約を解除することができます。
では、太陽光発電のシステムを購入した場合、瑕疵担保責任はどのようなケースで発生するのでしょうか。
この場合、さきほどから出ている「目的物」とは、発電設備一式などが該当します。
たとえばシステムを稼働しようとした際に、システムに欠陥があって、きちんと動かなかったり、動いても所定のパフォーマンスを発揮できないような場合に、瑕疵担保責任が発生します。
続いて、「請負契約」についてみていきましょう。
請負契約とは、当事者の一方(例:請負人)が「仕事の完成」を約束し、その仕事結果の対価としてもう一方(例:注文者)が報酬を払うことを約束する契約の事です。
※売買契約は“物”の売買に関する契約でしたが、請負契約は“仕事”の完成に関する契約です。
請負契約では「仕事の結果・成果」に対して、報酬が支払われます。
重要なのは、その過程ではなく「結果」というのが請負契約の考え方ですから、「期待通り(約束通り)に仕事が完成している」ということが大前提になります。
しかし、太陽光発電に関しては往々にしてその「結果」は「過程」にリンクしているものです。
業者がどのような工事を行うのか、その過程も大切だと言えるでしょう。
請負契約においても、請負人は瑕疵担保責任を負います。
たとえば工事を請け負った場合、その工事に欠陥があって「本来の性能が発揮されなかった」という場合、民法上、請負人は注文者に対し瑕疵担保責任を負います。
請負人は、瑕疵を補修・修理する必要があり、注文者が負った損害を賠償する必要があります。
請負人がこの責任を負うのは、仕事の目的物を渡した時から1年間であり、その間責任が継続されます。
注文者は、その瑕疵の存在によって請負契約の「目的」を達成できない場合、売買契約を解除することができます。
太陽光発電設備の設置工事は、一般に工事請負契約にあたります。
たとえば設置工事に欠陥があって、その欠陥が原因で本来発電所が発揮すべき「当然想定される電力の創出」ができなかった場合、民法上、請負人はその瑕疵(欠陥)について修理をする責任を負い、瑕疵による損害の賠償も行う必要が発生します。
太陽光発電の場合、「システムの購入」と「設置工事」を行いますので、今回ご紹介した「売買契約」「請負契約」という2つの契約が関係してきます。
どちらの契約も民法上の契約ですから、消費者はこれらの契約について知っておくことで、いざという時に発動すべき権利を正当に主張・行使することができます。
裏返せば、何も知らずに契約を結んでしまうと、相手が悪徳業者だった場合、業者の都合の良いように処理されてしまう可能性があるということです。
悪いことに、そういう業者であればあるほど、工事内容などに欠陥がある可能性が高いので、余計に不利益をこうむってしまう確率が上がってしまいます。
太陽光発電の設置をご検討中の方は、損をしないよう、ここでお伝えした内容に関して、しっかりと覚えておいていただきたいと思います。
太陽光発電に関する契約のことなら、当協会へお気軽にご相談ください。
太陽光発電の設置に伴うサポートを多数行ってきた当協会ならではの経験を活かし、多角的なアドバイスを行うことが可能です。
ただし、既に契約が完了してしまっている場合には、残念ながら当協会でもお手伝いをすることができません。
どうぞ、契約を結ぶ前にご相談をお寄せください。