
- 2020.06.30システム・工事
- モジュール?ストリング?太陽電池の用語と仕組みを解説
太陽光Labo
パネルのメーカーはたくさんあり、パネルによって特徴・メリット・デメリットが様々ですので、導入の条件や設置場所の環境に合わせて最適なパネルを選ぶ必要があります。
これから太陽光発電事業者となられる方、パネル選びでお悩みの方も知っておくべきパネルの種類や特徴、今後の市場の動向をご紹介したいと思います。
太陽光発電パネルは、メーカーや製品によって半導体基板の材料が違い、性能が異なります。
パネルが「シリコン系」「化合物系」「有機系」の3つに大きく分類されていることはご存知の方も多いかと思いますが、この分類は半導体基板の材料によるものです。
まずは下記の図で全体的な分類を視覚的にイメージしていただけたらと思います。
それぞれの詳細について説明します。
パソコンやテレビ、スマートフォンやデジタルカメラ、さらにICカードなど身近な電気製品に幅広く使われている半導体ですが、その半導体に最も多く使われている素材がシリコンです。
太陽光発電パネルの材料も、最も多く普及しているものはシリコンで、当協会でも、取り扱うパネルの多くがシリコン系パネルです。
上の図で確認していただけますように、シリコン系は、さらに「結晶(単結晶・多結晶)」と「薄膜(アモルファス)」に分類されます。
右の写真がシリコンの原料であるケイ石で、これにケイ素(Si)が含まれています。
シリコンとはケイ素の別名です。
「単結晶」と「多結晶」は、どちらもケイ石を原料としたシリコンを溶かし、冷やし固めてつくられています。
固め方によって、1つの結晶からつくられる単結晶とたくさんの結晶からつくられる多結晶に分類されています。
それぞれのメリットとデメリットをまとめます。
★メリット
・原子が規則的に並んでいて高純度のため、少ない面積設置でも多くの発電が期待できます。(変換効率が高い)
・1つの大きな結晶からできているので、モジュール表面に切れ目や割れ目がなく見た目がきれいです。
★メリット
・単結晶のパネルをつくる過程で不要となったシリコンを再利用して製造したり、場合によっては単結晶の時の工程を簡素化して製造するため、コストが安くなります。
アモルファスとは結晶構造の種類の1つで、 単結晶と多結晶とは異なり、不規則な原子配列になっているのが特徴です。
アモルファスの場合は、シリコン原子(Si)の隙間に不規則的に水素(H)などの不純物が混入しており、それぞれの原子間の距離がばらばらな構造になっています。
アモルファスと結晶系の技術の良いところを集めたパネルです、「HIT」がパナソニックと長州産業から発売されています
化合物系とは、シリコン以外の物質を混ぜ合わせてつくられるパネルのことです。
原材料として使われる物質には、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)、カドミウム(Cd)、テルル(Te)などがあります。
先にも述べましたように、現在の主流はシリコンであり、高い水準の変換効率を示しているのもシリコンではありますが、近年の実験結果では、化合物系がシリコンの変換効率を超えたという結果も出てきています。当協会でも化合物系を取り扱うこともあります。
有機系とはシリコン系や化合物系のように無機物を原料とするのではなく、有機物を原材料とする太陽光発電パネルです。
軽量でフレキシブルであるため、シリコン系の設置に向かない用途を開拓できるため、現在研究が行われています。
有機系太陽光発電パネルには有機薄膜と色素増感の2種類があります。実用化されたものとしてはまだ普及していません。
インク状の有機半導体をインクジェットプリンターのような印刷機で薄膜状に塗布して製造する太陽電池で、現在実用化されている結晶系と比較して製造コストを大幅に引き下げられる可能性を持っていることから注目を集めています。
酸化チタンを光電極として用いる太陽電池のことです。酸化チタンは、もともと紫外線しか吸収できませんが、酸化チタンの表面に色素が吸着することで、可視光にも感度を持つようになります。
このことを、“色素増感”と呼びます。植物の光合成のような仕組みで発電します。
このように、品質の違いはパネルの種類によって生まれます。では、実際これらの中から何を基準に選ぶのがよいのか考えてみたいと思います。
まず、メーカーによっては1種類しか取り扱っていないことがあります。ですから、「このメーカーは有名だから安心そうだ!」と早まってはいけません。
たとえば、「小さな土地だけど、日当たりはよく、できれば過積載をしたい」という希望がある場合、何を設置するのが良いでしょうか。 土地が小さいのに過積載を望めるの?とお思いかもしれませんが、効率が良くパネル面積の小さいものを選べば可能かもしれません。
この場合、化合物系タイプはあまりおすすめできません。変換効率が低いうえ、設置面積の広さも求められるためです。
にもかかわらず化合物系タイプしか扱っていないメーカーを選んでしまうと、当然ですが化合物系のパネルを提案されてしまうのです。
もちろん、逆のケースもあります。
なるべく「コストをかけず、表面の美しいパネルを設置したい。土地面積もそこそこ広い」という場合であれば化合物系が向いている可能性もあります。
ですか、個人でどのメーカーがどの種類を扱っているのかを調べるのは大変です。
更に、メーカーによって保証内容が違ったり、同じ種類のパネルであってもパネルの大きさが違ったり、劣化具合が違うこともあるので、これらが絡み合うと相当骨が折れる作業となります。
今回は、基本的なことのようで、意外と深く知らない太陽光発電パネルについてご紹介いたしました。現在、実用化されていて、広く普及しているものはシリコン系、次に化合物系です。
これら2種類より製造プロセスの容易さや低コスト化を図るため、またフレキシブルさやデザイン性を高めるために、有機系の研究が進められています。
数年、数十年先にはどんなパネルが主流となっているか、興味深いところです。
日本住宅工事管理協会では、パネル・パワコン、架台など部材の分離発注もしていただけます。
太陽光発電設備の設置についてもパネル選びも含め、最適なご提案をさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。