太陽光発電コラム

スマートエネルギーシステム化社会に向けて

2016.09.26

エネルギーミックスとスマートエネルギーシステムに向けて

日本国内の一般家庭や産業へ供給する電力量を、どこからどう確保するのか、この比率を「エネルギーミックス=電源構成」といいます。
日本国内のエネルギー資源は、その多くを海外からの輸入に頼っているのが現状です。
電気は日本で作られていますが、その燃料となる石油や石炭、天然ガス、ウランはその95%が輸入に拠り、エネルギー自給率はわずか5%です。
産油国の政情や輸出量に大きく左右されるため、価格コントロールも難しく、この依存性を打破したいというのが日本の指針でもあります。
2030年のエネルギーミックスを決めるに際して、政府は原発を含むエネルギー自給率を25%まで引き上げることを目標としています。

2015年7月17日、経済産業省は2030年実現を目指したエネルギーミックスを決めた「長期エネルギー需給見通し」を正式発表しました。
長期エネルギー需給見通し小委員会の会合で決められた電源構成は以下の通りです。

これは、安全性・安定供給・経済効率性・環境適合等を考慮した上で、原発依存度を可能な限り低減させていくことを目標としたもので、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電の効率化を図る指針とされています。
省エネルギー化戦略としては、全産業への産業トップランナー制度の拡大と、中小企業・住宅・運輸に対する省エネ支援があげられています。
再生可能エネルギー導入促進としては、FIT法の改正や系統制約の解消など、現在の事業性を鑑みての問題点の解決が急がれています。

分散型エネルギーシステムへ向けて

エネルギーミックスの実現に向け、従来の一方向的な集中型エネルギーから、分散型エネルギーへのシステム変化が見込まれます。
分散型エネルギーは、需要家も電気を供給・調整することで双方向に貢献する形をいいます。
今後、ネガワット取引市場の拡大とともに、徐々にこの形へ移行していくであろうと考えられています。

こうしたスマートエネルギーシステムの構築に向けて、さらに期待されているのが地産地消型による電気・熱エネルギーのコスト低減です。
地域のエネルギー源を複数の需要家グループに回すことで、より効果的なエネルギーシステムを作り、非常時のエネルギー共有ラインを確保し、系統負荷の低減を目指すことが可能になります。
地域の特徴も踏まえた多様なシステムを構築することによって、エネルギー供給のリスク分散やCO2の排出削減も期待できます。
こうした地産地消型再生可能エネルギー事業には、45億円もの補助金予算が組まれており、震災後ニーズが高まっていることもあって注目されています。
成果目標としては、平成28年度から平成32年度までの5年間の事業とし、省エネ効果を20%以上達成することとしています。
現状ではこの目標達成率は非常に難しく、多くの課題点が考えられています。

スマートエネルギーシステム構築への課題点

スマートエネルギーシステムの構築にあたっては、下記の課題が挙げられています。

① EMSや蓄電池導入コストの低減化
② 事業推進者の不在
③ 事業者側のメリットに重きを置いており、需要家側のメリットが不明瞭

②に関しては、専門知識を持ったエネルギー事業者の参加が必須となっていることもあり、なかなか実際に始動するところまで話が詰められない状況です。
また、ランニングコストを回収するためのビジョンが明確に描けず、利害関係者の調整も難しくなっています。
これらの問題を早期に解決し、より長期的視野でシステム構築にあたる必要があります。
そのため、平成26年度までのスマコミ四地域実証の成果をうけ、またネガワット取引実証も含めて、平成28年度よりバーチャルパワープラント構築実証事業が展開しようとしています。
この事業の振興に先立ち、エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス・フォーラムとエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会が2016年1月に設置されました。
今後、こうした取り組みが活発化することで、スマートエネルギー社会に向けて日本のエネルギー効率も高まると考えられています。

 

全国の再生可能エネルギー事業導入は、平成27年度末時点で3,966万kWとなり、FIT制度開始前に比べて約3.5倍もの増加が見られます。
FIT制度開始後に導入された2,843kWのうち、96%を太陽光発電が占めています。
多くの太陽光発電所が設置されていく中、需要の少ない離島地域などでは系統を圧迫する事態へと発展し、出力抑制を指示する機会が発生しています。
太陽光発電は天候に左右される発電所である上、出力変動が大きいため受給調整が困難でもあります。
さらに、送変配電設備の容量不足から、一定のエリアに集中しがちです。
こうした問題を解消し、風力や地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギー事業発展に向けて、機器性能の向上化やリードタイムの短縮化など、国は多くの課題を抱えています。
前述したスマートエネルギーシステム構築と併せて、今後の日本のエネルギーミックスの推移は、こうした課題点をどれだけ早くクリアできるかにかかってくると言えるでしょう。

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