太陽光発電コラム

インフラファンド市場の拡大に向けて

2016.08.04

インフラファンド市場の拡大に向けて

東京証券取引所は2015年4月30日、太陽光発電施設などのインフラを投資対象とするインフラファンド市場を創設しました。
インフラ市場の創設は、インフラ整備の社会的意義やインフラへの投資に対するニーズの高まりに応え、さらに政府・自治体の財政状況の制約や、インフラの維持・更新及び新規投資の必要性を背景としたものです。

(東京証券取引所JPX http://www.jpx.co.jp/equities/products/infrastructure/outline/index.html

インフラファンドとは?

インフラファンドとは、投資家から資金を集めて道路・発電所・鉄道・空港などの社会資本(インフラ)に投資する金融商品(ファンド)をいいます。
ファンドの運営にあたっては、投資家からの出資金と銀行からの借入金を元手に、新興国などでインフラを新設(建設段階からの投資)をしたり、既存インフラを購入したり、インフラの運営会社の株式を取得したりするほか、株式のインフラ関連企業に投資する場合もあります。
現在その種類については、年金基金などの機関投資家から資金を募る私募ファンドの他に、取引所に上場しているファンドもあります。
また、ファンドの運営会社は、主に世界の大手金融機関で、例えば、ゴールドマンサックスやマッコーリーなどが挙げられます。日本においては、東京証券取引所が東証インフラファンド市場を創設しました。

一般にインフラ事業は、需要が景気変動に左右されにくいものが多いです。
投資家にとっては「安定した配当収入」が期待できます、さらに運営会社にとっては、実物資産を裏付けとしているため「手堅い現金収入」を確実に見込むことができます。
例えば、発電所なら売電、道路や鉄道なら利用料と、施設(インフラ)の運営で得られる収入を投資家への配当原資に充てるなどが特徴となっています。

インフラファンド市場の仕組み

太陽光発電を例にあげて、上記図の仕組みを簡単に説明します。
太陽光発電施設の設置者・所有者が、この図で言うところの「インフラの提供者」です。
この提供者が太陽光発電施設=インフラを、インフラファンドに売却します。
インフラファンドは多くの太陽光発電施設を保有し、その施設に投資する投資者を募ります。
再生可能エネルギー事業に興味があっても、資金や知識の無さなどから自分では着手できない人々等を中心に、集まった投資家がインフラファンドへ投資します。
この投資金を使って、インフラファンドは保有する太陽光発電施設を運用します。
実際に運用するにあたって、太陽光発電の知識やノウハウに通じた運用会社=オペレーターに任せることになります。
太陽光発電施設は太陽がある限り安定した収益を生み出しますから、毎年この収益を配当金として投資者に分配することになります。

基本的に、このインフラ提供者とオペレーターは同じ会社、もしくは関連企業であるケースがほとんどです。
この仕組みを見ると、インフラファンドが投資家に分配するための収益は、インフラ運営に携わるオペレーターにかかっていることが分かります。
よって、インフラファンドとして上場するための要件には、このオペレーターに関する情報開示制度なども追加で整備されています。
また、インフラファンドからの安定した収益分配を実現するため、新規に建設するインフラではなく、すでに完成・稼働し継続安定的な収益が見込める施設を投資対象としています。

インフラファンド市場の現状

インフラファンドは、経済動向の影響を受けにくい安定的なアセットクラスへの投資として、投資者からの関心が高まりつつあります。
そんな中、インフラの整備や運営については、民間資金やノウハウのより一層の活用が求められています。
こういった現状を背景に創設されたインフラファンド市場では、インフラを投資対象とする投資法人又は投資信託が上場対象です。
しかし市場創設から一年、今年の春まで上場するファンドはゼロのままでした。
こうした市場の伸び悩みは、税制の不備に起因していたと考えられています。
インフラファンドでは、太陽光発電施設など再生可能エネルギー施設が非課税対象とされていますが、市場の創設当初、資金の5割超を再生可能エネルギー施設に投資する場合の非課税適用期間は10年間でした。
これでは太陽光発電施設の税法による耐用年数17年を待たずに終了してしまい、その後は課税対象となってしまうため、収益の悪化により長期安定配当が崩れる可能性が懸念されていました。

しかし、2016年12月16日、平成28年度税制改正大綱が公表され、投資法人の課税の特例について、下記のような改正がなされました。

「特定の資産の割合が総資産の50%を超えていることとする要件について、特定の資産の安易に再生可能エネルギー発電設備を含めることができる期間を、再生可能エネルギー発電設備を最初に賃貸の用に供した日から20年(現行:10年)以内に終了する各事業年度とする」

この改正により、インフラファンド市場への上場環境が整い、今年4月満を持してタカラレーベン傘下の「タカラレーベン・インフラ投資法人」が上場、初のインフラファンドとして承認されることとなりました。
これを受け、今年度は複数のファンドが上場に乗り出すであろうと考えられています。
インフラファンド市場に上場する企業は、関連企業が太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー事業に力を入れており、近年中に国内事業100MW超を目指す計画が進められている例もあります。
国内での再生可能エネルギー事業のさらなる発展と、それに伴うインフラファンド市場の拡大が見込まれ、安定した投資事業として注目を集めています。
現在たった一社のファンドが名を連ねているインフラファンド市場も、今後さらに活気づいていくと期待が高まっています。